2011年5月20日金曜日

[ボラレポ]再度、被災地を訪ねたい


今回のボランティア経験について会社の広報担当からインタビューを受けました。それに基づいてレポートします。


(ルーテルとなりびと注:作業内容の項目はこれからボランティアに参加されるみなさんに特に有益な情報です。参考になさってください。)

◆活動をされた場所はどこですか:

 石巻市(石巻専修大学キャンパスに設置された、石巻ボランティアセンターをベースキャンプに活動しました)

◆期間について教えてください:
1週間 

◆今回活動をされたのはどのような経緯となりますか:

・有給休暇を使って、ゴールデンウィークに連休を取ることができたこと
・石巻でボランティアの受け入れ態勢が整い始めたこと
・派遣元の受け入れがあったこと(日本福音ルーテル教会)
・何かしないと、いつか後悔するのではないかという気持ちがあったこと

◆現地ではどのような作業をされましたか:
 主に、住宅家屋のヘドロ清掃です。
津波により、住宅に2−3メートルほど海水が浸水し、水が引いた後の家屋、庭、屋外の側溝などに残されたヘドロをスコップで掬い、土嚢袋につめ、除去しました。ヘドロの成分は、屎尿、腐った米、汚泥、窓ガラスの破片、海水により屋外と家屋から出た、あらゆるごみです。



 地域全体がヘドロに覆われているため、至る所から悪臭が漂い、特に住宅内で作業をするときは、マスクを二重三重する必要がありました。また、ヘドロには雑菌が大量に含まれるため、目や口に入ると感染症を引き起こします。そのため、作業にあたってはゴーグル装着が欠かせずまた、手袋をしたまま顔の汗を拭うときには注意を要しました。長靴を履いて作業をしますが、誤って釘を踏んで怪我をし、破傷風を引き起こしたケースもあったようなので、ボランティアの多くは、長靴の底に、切り抜いた鉄板を敷いて現場に入りました。作業は、重いヘドロを掻き出し運ぶことが中心なので、水分をこまめに補給すること、定期的に体を休め、疲労をコントロールすることが重要でした。

◆最初に現地の現状を見た際のご感想:
 現地に入った日は、すこし広い範囲で被害状況を見ておきたかったので、車で七ケ浜、女川などを回りました。すでに、自衛隊が路上の瓦礫を撤去してくれていたので、幹線道路はどこも通行できる状態でした。ただ、それらは単に道路脇に寄せてある状態で、車を止めて周囲を見渡したとき、量の膨大さに驚きました。
 女川湾の周辺は、25メートルほどの津波が襲ったと考えられている地域で、非常に被害が大きく、地上にある形のあるものは、破壊された大きなコンクリートのビルだけで、都市が爆撃を受けるとこのようになるのではないかと想像されました。これらの地域は、一度、更地に戻してから再建するより方法がないと思われ、その中に立っていると、自然の力の恐ろしさとその前での人間の弱さ、そこで被害にあった方達の苦しみ悲しみを深く思いました。

◆作業をされていく中で現地の方々とお話をする機会があったかと思います。
 何か印象に残ったコメントやエピソードがあればご紹介ください。:
 ヘドロを清掃する作業は、基本的に石巻のボランティアセンターに要請を寄せたお宅にて行いました。個人のお宅ですから、朝、お宅に電話し作業に向かう旨連絡をする際に、必ず在宅していただくようにお願いします。したがって、伺った先すべての方と会って話をしました。
 みなさんに共通しているのは、元の生活を取り戻す目処がたたず、途方にくれているということです。その中でも特に深く印象に残っているのは、自宅だけでなく、賃貸しているアパートやその他の敷地一帯が、海から陸から海水にのって運ばれてきた大量のヘドロ、巨大な飼料の袋、タイヤ、ボート、工場から流れてきた巨大な紙のロールなど、あらゆるゴミに覆われめちゃくちゃになっているお宅のご主人です。庭先で、芯から疲れきり、深い諦めが現れた、肌の浅黒い大柄なご主人の表情が目に焼き付いています。

ただ、いまだ地域全体がほぼ破壊されたままの状態でまた、多くの方が知り合いを亡くされたショックを抱えているものの、すこし時間が経過したためか、多くの現地のみなさんは冗談を言う元気を取り戻しつつあり、お宅の方が、我々と一緒に作業をしながら、「ひと休みして一服しようよ。」と話しかけてくれたり、飲み物や手作りの食事を振舞ってくださるお宅もありました。夕方、作業を終え、お宅を引き上げるときに、「がんばってね!」と我々が言うと、「ありがとうね、がんばるから!」と言いながら、車を見送ってくれたみなさんの顔が忘れられません。

被災地域の津波による被害はまさに甚大で、報道されているとおり、復興には長い時間と労力が費やされることは間違いないと思われます。今後も状況を注意深く見守っていきたいですし、機会を見つけて再度、被災地を訪ねようと考えています。
 
 ボランティア 津田択